特定技能として外国人が働くことのできる分野に関して、新たに4分野を追加することになりました。
これまでは12分野が認められていましたが、新たな特定技能分野の自動車運送業・鉄道・林業・木材産業が追加されることで、合計16分野において特定技能外国人の受け入れが可能となります。
4分野の追加の他に、これまで特定技能の受け入れが認められていなかった業務分野について、いくつか認められることになりました。
当記事はこちらの方におすすめです。
- 自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の特定技能外国人を受け入れたいと考えている
- 新たに特定技能の受け入れが可能となった業務内容を知りたい
- 技能実習生を受け入れているが、新たに追加された分野や業務内容で特定技能に移行できるか知りたい
Xin chào! 日本の皆様🇯🇵🇻🇳
LOD南支社です!
以前から特定技能分野の追加が要望されていた分野について、政府において正式に追加される運びとなりました。
新たに追加される分野は、自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の4つです。
自動車運送業は、物流の2024年問題やタクシー・バス運転手不足などへの対応が背景にあります。
林業は人手不足の業界であるものの、技能実習2号への移行が認められていない職種であり、今回の特定技能分野追加で人手不足緩和が期待されています。
鉄道や木材産業については、技能実習生2号の移行が認められている分野であるため、技能実習修了後の特定技能への移行が可能となり、ある程度業務内容に習熟した外国人を確保できることになります。
また、新たに特定技能の受け入れが認められる業務分野として、「繊維」、「パルプ・紙・紙加工製造」、「スーパーの惣菜加工」があります。
これらの業務分野は、技能実習2号や3号は認められているけれども、技能実習修了後に特定技能へ移行できなかったものです。
今回、認められたことで外国人材がそのまま日本で働くことができるようになります。
それでは、新たに認められる産業分野と業務分野について個別に説明していきます。
新たな4分野|自動車運送業・鉄道・林業・木材産業
自動車運送業
自動車運送業の分野で特定技能人材を受け入れるのは、トラックなどの物流業界、タクシー業界、バス業界が想定されています。
この分野の受け入れに関して最もハードルとなるのが免許取得です。
まず、日本の自動車運転免許が必要となります。他の分野の特定技能であれば、日本の国家資格や免許などを取得しなくても仕事に就くことができます。
対して、自動車運送業の分野では自動車の免許が必須となります。
自動車の免許だけでなく、トラックであれば中型や大型の免許が必要となります。牽引車であれば牽引の免許も必要ですね。
タクシーであれば、二種免許が必要となります。
これらの外国人の免許取得についての詳細は下記のブログで説明しています。
「特定技能「自動車運送業」を追加検討開始|免許取得・受入れ要件・業務内容の3ポイントを解説」
LODグループは、ベトナム運輸省系の外郭団体が母体となっており、グループ内で自動車教習所なども保有しているため、日本の自動車運送業の特定技能分野で外国人の受け入れを検討されていたら、ぜひお気軽にお声がけください。
鉄 道
鉄道分野は、軌道保守整備などの鉄道施設保守、鉄道車両の整備で特定技能外国人の受け入れが可能となるでしょう。
上記の業務内容は技能実習で認められており、技能実習修了後も引き続き特定技能として働くことが可能になります。
さらに、運転士や車掌、駅係員の業務も特定技能外国人ができるようになる予定です。
ホーチミン市では日本の鉄道技術により、地下鉄の開通が進められています。日本の電車運行を学んだ元特定技能のベトナム人達が、ホーチミン市の渋滞問題緩和に活躍してくれることが期待されます。
林 業
今回の産業分野追加によって外国人受け入れに大きな前進があった分野と言えます。
技能実習2号への移行も認められることから、特定技能人材受け入れが可能になるのと合わせて、林業の人手不足の緩和に大きな影響を及ぼすと考えられます。
令和3年の時点で、技能実習1号の人数は64人でした。技能実習2号と特定技能が認められることで、今後、林業に従事する外国人が増えてくると予想されます。
林業は特に安全管理を徹底しなければならない分野であるため、入国前の人材育成や入国後の安全管理教育やOJTは重要です。
少しのミスが重大な事故に繋がりやすい仕事内容であるため、言語の違いから生じる指示の理解不足、ルールの不周知が起こってしまわないよう、教育には特に力を入れていくことが求められます。
引用:高知県庁「林業分野における外国人材の活用」
木材産業
既に技能実習2号の受け入れが認められている「木材加工職種」の人材が、特定技能へ移行できるようになりました。
また、「家具製造」の職種の技能実習生も特定技能への移行が認められることになります。
受け入れ要件が技能実習「木材加工職種」と同様に、”受け入れる事業所においては、「農林水産業・食品産業の作業安全のための規範(個別規範:木材産業)事業者向け」(令和3年2月26日付け2林政産第168号林野庁長官)に基づく取組が行われていることを要件とする。当該取組状況について、一般社団法人全国木材組合連合会の確認を受けた者であること” が特定技能の受け入れに求められることになるのかもしれません。
ベトナムは木材加工業が盛んであり、アメリカ、日本、中国に主に木材製品を輸出しています。2022年には160億ドル近くの輸出実績があります。
ベトナムには、木材加工を専門で学ぶことができる学部・学科がある学校もあり、これらの学校の卒業生が日本を目指すことになる可能性が高いです。
引用:高知県庁「林業分野における外国人材の活用」
新たに認められる業務分野
これまで技能実習2号や3号まで認められていたけれども、特定技能は認められていなかった3つの業務分野が認められるようになりました。
- 繊維
- パルプ・紙・紙加工製造
- スーパーの惣菜加工
繊 維
繊維製造に関する業務内容が、工業製品製造業分野(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)の一つとして認められることになります。
繊維と一言でいっても、紡績、織布、染色、製服、自動車の座席シートなど対象となる作業内容の範囲が広いです。
技能実習2号で認められている職種・作業の全てにおいて特定技能の受け入れが認められるか当方ではまだ把握できていません。
自社がどの産業分類に属するかで特定技能人材の受け入れの可否が決まってくるかと予想されます。今後の情報をよく確認していく必要があります。
パルプ・紙・紙加工製造
技能実習における紙器・段ボール箱製造の職種が該当してくると考えられます。
製本職種なども当てはまるかもしれません。
工業製品製造業分野(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)の一つとして認められることになります。
こちらも自社がどの産業分類に属するかで特定技能人材の受け入れの可否が決まってくるかと予想されるので、今後の情報をよく確認していく必要があります。
スーパーの惣菜加工
かつて、農林水産省の「特定技能・飲食料品製造業分野に関するQ&Aについて」 において以下のように考えられ、特定技能人材の受け入れが認められていない業務分野でしたが、新たに「飲食料品製造業」の分野で受け入れが認められることになります。
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Q:スーパーマーケットのバックヤードは対象ですか。
A:
スーパーマーケットがバックヤードで惣菜などの飲食料品を製造・加工をしている場合は、バックヤードはスーパー(小売業)の機能の1つであるため、対象外としています。
(日本標準産業分類:561 百貨店・総合スーパー、581 各種食料品小売業)
ただし、スーパーマーケットと同一構内であっても、経営主体が異なれば経営主体ごとに別の区画としてそれぞれ一事業所とするため、対象 となります。
また、スーパーマーケットの店舗の売上げの過半が、バックヤードで製造・加工した飲食料品である場合は対象とすることが可能です。(製造小売に該当すると判断)
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技能実習に代わる新制度の育成就労制度では、特定技能が認められる産業分野のみの受け入れとなることから、今回の追加がスーパーの惣菜製造にとっては大きな意味を持ちます。
職種「惣菜製造」で技能実習生としてスーパーで働いている外国人は多く、企業は技能実習修了後に継続して特定技能として外国人を雇用することができるようになります。
まとめ〜新たに4分野を追加することに関して〜
今回の産業分野と業務分野の追加によって、かなり多くの企業が人材不足の懸念を緩和できることになると思います。
育成就労制度に関する最終報告によると、特定技能で外国人材の受け入れが認められる分野と、育成就労制度で受け入れられる分野を一致させることが述べられていました。
このことから、自社で育成就労で外国人を受け入れようとしたら、自社で特定技能で受け入れられることが前提になります。
そこで新たに分野が追加されることになったため、育成就労においても受け入れが心配なくなりました。
しかし、プラスチック成形の分野に関しては、まだ全面的に特定技能を受け入れることができないのではないかと思いますが、プラスチック成形に関係している日本の企業の皆さんは、今後も注視していく必要があるかと思います。
※特定技能の受け入れ全般については「【保存版】ベトナム人の特定技能を受け入れるための手順」へ
※育成就労制度については以下2つのブログで説明しています。
「外国人技能実習制度の廃止と新制度の創設を決定|どうなる技能実習?」
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